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名越コラム
「innovative year」

 ちょっと前ですが、映画界最大の祭典「第74回アカデミー賞」がロサンゼルス・ハリウッドのコダック・シアターで行われました。

 気になる作品賞は「ビューティフル・マインド」。そしてこの作品で、私の大好きなロン・ハワードが監督賞を獲りました。以前ここで紹介したこともある「アポロ13」を始め、数多くの名作を送りだした監督です。「ビューティフル・マインド」は作品賞、監督賞以外に助演女優賞、脚色賞の主要4部門を制覇。助演女優のジェニファー・コネリーはここんとこイマイチさえませんでしたが、ロン・ハワードならでは骨太な演出のこの作品で、出色の演技を見せます。
 まぁこれだけでも私にとってはとても嬉しいかぎりなのですが、今年のアカデミー賞ではそれ以外にとても大きな出来事が起きました。
 それは主演男優賞はデンゼル・ワシントンが、そして主演女優賞はハル・ベリーが獲得したこと。つまり史上初の黒人俳優のアベック受賞となったことです。主演男優としてはデンゼル・ワシントンが名優シドニー・ポワチエ以来黒人としては2人目。そして主演女優賞のハル・ベリーはアカデミー賞初の黒人受賞ででした。本人の喜びはひとしおだったと思います。
 そういう意味で今年のアカデミー賞はお題に書いたように「innovative year」つまり革新的な年となったわけです。

 みなさんはテレビで授賞式見ましたか?私は久々に授賞式のシーンで泣けました。さてこの「ビューティフル・マインド」ノーベル賞学者ジョン・フォーブス・ナッシュ・ジュニアの半生を綴った感動作です。『アポロ13』のロン・ハワードがまたも、またもノンフィクションの素材を映画的なアプローチで、たくましくも繊細な物語として完成させています。

 お話としては第2次世界大戦時、数学的分析が暗号解読の主役として役立つことが始められたころ、政府が一人の天才的数学者に目をつけます。彼は「非協力ゲーム理論」という後にノーベル賞を受賞するきっかけとなる経済理論のゲームを打ち立てた人物。そして彼の極めて非凡な才能を、政府の機密機関の仕事に役立てることを諜報部が企てます。その渦中に立たされた彼が自分の人生を徐々に蝕まれながらも、人に求められることと、自分自身が求めることに悩み、苦しみ、人生とは?愛とは?そして前向きに生きることとは?を追い求めた彼の47年間を映画化したものです。

 研究に没頭するあまり自己を見失っていく天才数学者ジョン・ナッシュを「グラディエーター」「L.A.コンフィデンシャル」で好演したラッセル・クロウが演じています。他の役者でも、ロン・ハワード映画ではお馴染のエド・ハリスが今回は怪しげな諜報員という設定で大変難しい役所を好演しています。これは見ずにはいられません。とにかく必見です。
 ちなみに授賞式の壇上で、ハワードやクロウがオスカーを掲げて満面の笑みで観客に答えていた舞台の右隅で、しっとりと笑顔を浮かべていた老人こそ、ジョン・ナッシュ、その人だったことは意外に誰も知らなかったようです。

 ちなみにこの「ゲーム理論」って、皆さんはご存知ですか?私は昔ある人から聞いて興味をもってちょっとだけかじったことがあります。目的関数、環境変数など考慮に入れて、モノを手に入れるための確実性の高い方法論を設計するあたりの説明は結構面白いですよ。響く人はハマると思います。ただ、この理論を紹介している本は山ほどあるので、易しく解説しているものを選ぶのがポイントです。
ではまた。

名越 稔洋
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