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HOME / コラム / 第10回 となりの企画はよく柿食う企画だ
となりの企画はよく柿食う企画だ

◆ご挨拶
みなさん、はじめまして。元スマイルビット企画の加藤です。
いよいよ春到来、桜も花開き、プロスポーツが開幕しはじめ、ずいぶんと暖かくなってきました。
そんな中、新卒採用の面接に立ち会う機会がありました。
そのとき感じたことを、思いつくまま書いてみようかなあと思います。
皆様、しばしおつきあいください。


◆ゲームの「おはなし」

企画志望の方の面接をしていて、よく出会うのは「RPGのストーリーを書きたい!」という方です。もちろんストーリーテリングが出来る人が戦力として加わるのはいいことです。でもストーリーしか書きたくない人、そのことしか頭にない人となると「困ったなあ…」と感じることがほとんどです。
この世の中に「おはなし」を書けるメディアは多々あるのに、どうしてゲームを選ぶのでしょうか?その理由を明確に説明してくれる人は少ないのが現状です。
でも気持ちはわかります。だからこそゲームで「おはなし」を語ることについて、ちゃんと考えて、意見を聞かせてほしいなあと思います。

◆ゲームならではの文法

映画とTVドラマ、小説とコラム、マンガとイラストといった共通性のある複数の媒体で仕事をしている方は結構いると思うのですが、両方で傑作を残している方は決して多くはありません(例外はありますけど)
媒体ごとに要求されるものが異なっており、適した方法論、文法が存在するからではないかと、私は思っています。
映画のような2時間の大スクリーンで語るのに適したストーリー、演出方法、展開があり、またTVドラマのように毎週1時間で半年かけて語るのに適したストーリー、演出方法、展開が確かにあるのです。
ゲームでも、それがあります。適したストーリー、演出、展開があります。そしてゲームは他の媒体と違って伝えるためにシステムを用意すること、変更することができます。これは追求しがいのあるところですし、私がゲームを作る上で一番興味がある場所でもあります。

◆感情移入
私は、ゲームにおける「おはなし」を語るシステムというのは、プレイヤーをいかにゲームの主人公になりきらせるか、ゲームのストーリーでの主人公の感情の起伏と同調できるか、ではないかと思っています。つまり主人公と同じように驚いたり、悲しくなってきたり、むかついたりすることがあれば、それは感情移入している証拠なのだと思います。

それは「おはなし」だけに限らず、ゲームの持つ感覚的な楽しさ・快感を演出することにもつながるはずです。
CMなどで「××システム!」などというかたちで派手に宣伝されるような大きな部分だけではありません。細かいところで言えば、アイテムの値段、セーブできるタイミング、セリフの出し方なんていう細かいところまで、いろんな意図で構成されているゲームもあります(そうでないものの方が多いですけど…)
メッセージなんてほとんど出ないゲームでも、プレイヤーに感情移入させて、「おはなし」を伝えてくるものもあります。

しかし注意しないといけないのは、一般的に言われている「ゲームは自分で進めていくので感情移入しやすい」というのを鵜呑みにしてはいけないという点です。
他のメディアに比べれば、そうとも言えるわけですが、極端に言えばゲームだって用意された世界・お話をなぞっているだけだとも言えます。またRPGの中で悲痛な話が展開されていても、私たちプレイヤーは次の経験値による成長ばかりを気にしているかもしれません。結局、作り手次第なのだと思います。

私も常に、どうやってプレイヤーの気分を乗せるか、誘導するかを考えて、仕事をしています(うまくいっているかどうかは別として…)
これからも、こういったことに気をつかったゲームを作っていきたいと思います。

非常にとりとめのない話になってしまいましたが、今後ともよろしくお願いいたします。

加藤 紀人
 名前加藤 紀人 
 趣味サッカー観戦(浦和レッドダイヤモンズ、バレンシア)、読書など 
 代表作『バーニングレンジャー』、『ソニックアドベンチャー』、 
  ハンドレッドソード』、『ガンヴァルキリー』、『パンツァードラグーンオルタ』など 
第9回後半 第11回
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