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名越武芸帖 |
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其の一 ゲーム成立の条件はじめまして名越です、本誌に書かせて頂くのは初めてなんですが「ゲーム制作」って何なの?なんていう興味を持っている方に対して、少しでも面白く読んで頂ければ幸いです。では先ず「ゲーム」って何?って所から始めましょう。 現在「ゲーム」といえば「ビデオゲーム」がすぐに思いつきます。 と言うよりはイコールに近い扱いになってますよね。 でも実際はそうではなくて「ビデオゲーム」の普及が余りにも凄すぎたために起きてしまった現象であって「ゲーム」とは「ビデオゲーム」の事ではありません。 皆さんは「ゲーム」ってなんだと思います? 「遊び」でしょうか? それとも「娯楽」てな感じでしょうか? 俺は、本来「ゲーム」とは「遊び」と同義的な意味がある以上に『勝敗要素のある遊び』や『遊びを更に膨らませる駆け引き』と言う意味で捕らえるのが正しいと思います。 更にこれらの感覚の全く無いモノを俺は「ゲーム」と呼びません。 次に「ゲーム」成立の為の条件とは?これは3カ条です。 1、ルール:遊びを成り立たせ理解させる(どう遊べばよいのか、どうすれば勝ちなのか、終わりなのか) 2、目的:勝負の目標、理由がはっきりしていること(勝てばどうなるのか?なぜ勝ちたいのか?) 3、上達:スキル(コツ)が感じ取れること(どうすればもっと上手に、早く、高得点で、スマートに出来るか) これらが1つでも欠けると「ゲーム」として成立できなくなります。皆さんが今まで遊んだゲームの中で『つまんなかった』モノはきっとこれらの要素の何れか、もしくは組み合わせの設計に問題があったはずです。 大抵は1か3の問題が多いようですね。ちなみに2が問題のケースでは修正も比較的簡単なのですが、1や3が問題の場合、特に1の場合はかなり厄介です。 根本ですからね。 でも過去にヒットしている「ビデオゲーム」にはこれらの3つの要素がキチント成立しています。 例えばカプコンの『スト2』 1、移動レバーと攻撃ボタンで〜秒以内に相手をK.O.して、先に〜本先取したほうが勝ち。 2、勝ったら次のゲームはタダ。〜連勝すると鼻も高い。実際の人間に勝った気分も射幸性に満ちている。 3、上中下段の攻守を基に設計され、あえて偶発性の低い必殺技も存在し、双方を習得すると更に気分良く勝てる。 1を理解し、3の操作で2を目指す。どうです。素晴らしい。 かなり省いて書いてますが、これだけでも「ゲーム」成立の為の条件は十分に入ってます。 『スト2』に限らず過去の大ヒットゲーム達には上記の3つが必ずうまく入っています。 自分で何か例にして考えてみて下さい。 ちなみに上記の3カ条は「ビデオゲーム」以外にも通用します。 例えば『セミ捕り』、これは立派な「ゲーム」です。「狩猟」という人間が生まれ持った本能的な感覚を『セミ』に対して行っている訳です。 『狩猟』とは「駆け引き」です。ビデオゲームの対CPUが対セミになって戦う訳です。 更に捕まえ方を訓練することで上達を極め、その結果『捕獲=勝利』そして何匹捕らえたか?でスコア的な目的要素も加わり、射幸心を満たすゲームとなるわけです。 もちろん子供達にとって『セミ』がフォルム的に『かっこいい』と感じる部分もあるでしょうし、更に夏限定の滅多に出来ない行為という思いや、虫取り網という、これまた滅多に使う機会の無いモノを、道具として持ち歩くという楽しさもゲームの演出として効いています。 そして『セミ捕り』という行為は、あえて名前を付けなくても行為自体が「ゲーム」になっている代表的なゲームです。 『セミ捕り』に限らず、『かくれんぼ』や『スカートめくり』等、子供が好む行為のおおよそは名称自体で既に「ゲーム化」されています。 では最後に『日常動作』はどうでしょう?『歩く』『走る』『持つ』等は「ゲーム」でしょうか? 違います。『日常動作』だけでは、冒頭に述べた「ゲーム」に必要な要素が入っていないからです。 でも、これら全ての事象を「ゲーム化する」ことはできます。 オリンピック種目を思い出して下さい。あれらの種目の中で「ゲーム」として認識できないものがありますか?俺はありません。 『記録』が残り『順位』という格付けが行われているからです。 全て先程の3つの要素がしっかり入った立派な「ゲーム」です。 多角的に人間の肉体と精神の極限を目指す事を「ゲーム化」してある訳です。 だから見ていて面白い。逆に「ゲーム化」を放棄してしまったら、ただ『走るだけ』『泳ぐだけ』になって、やる側も見る側も面白くありません。 参加することに意義があるそうですが「ゲーム化」した段階で、それは立て前ですね。 「ゲーム」というキーワードの境界線といえば「あれはシミュレータ色が強いからゲームじゃない」という台詞を耳にしますが、大抵の場合は間違いで「ゲーム」として販売されていればきっと『スコア』や『ラップタイム』等の勝敗の手がかりになるキーワードが必ず入っているはずです。 もしくはスコアが無くとも『通信』していれば、駆け引きから勝敗が生みだされる様に「ゲーム化されて」いる訳ですから、そこで「ゲーム」なのです。 でも『スコア』等の表示は、昔から入っていて当然のモノなので「ゲーム」として認めるには説得力に欠け、認知されづらくなっているのも確かですし『ラップタイムを縮める』という自己鍛錬的なゲーム要素にしても、今では同様に認められづらいのも理解できます。 ですから、そういう現状をふまえてゲームメーカーがもっと積極的に勝敗の手がかりの作り方をバラエティー豊かに提案していく事は大切です。 更にその手がかりの部分こそが「このゲームはココを楽しんで下さいね!」というメーカーが主張するところの、まさに「ココ」に当たる訳ですから。 次回は『「面白いゲーム」に必要なモノと「新規性」に対する考え方』です。
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