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名越武芸帖 |
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其の七 伝えましょう7回目に突入しました。実は当初この連載は、隔月1年間の計6回ということでスタートしたのですが、2年目を迎える事ができました。元々小さな頃から書く事が好きなだけに、続けられる事はホントに嬉しいです。これも皆さまの御支援、そして編集部の方々の暖かいフォローがあってこそ。これからも一所懸命書きますので是非よろしくお願いします。 という訳で今回は、前回の「良い」というテーマに続いて直接ゲームから離れてしまう感じもありますが「伝える」がテーマです。 前回「良い」と言ってもらえなかった時、まず相手に自分の考えが本当に伝わったのか?を考え直してみよう。と書きました。実はこの「伝わる」という言葉は俺はとても大切にしている言葉で、その意義や理由、そしてその手段等についてもっとキチンと書きたかったのですが、文字数の都合で書ききれずに悔しかったので、今回は言い足りなかった所をフォローする。という感じで書かせて頂きます。 さて「伝える」。難しいですよね。でもこれが出来なければ思ったように物事を進められません。他人に自分の考えを限りなく完璧に理解させる事が「伝える」ならば、なおさら難しそうに聞こえますしね。たまに「そんなこと無理だよ!」と開き直る人も見かけますが、俺からすればそういう人はモノを作る資格さえ無いように感じます。厳しい言い方ですが「作る=伝える」と考えて、前向きに勇気を出して目指さないとイケません。でも「どうやってスタッフとコミュニケーションを取ってるんですか?」という質問は世代を問わず非常に多く聞きます。つまり大変な事だという認識は多くの人が持ってるって事ですよね。 「無理だ」と言いたくもなるんでしょう。 では具体的に現場を例にとって話をします。ゲーム屋さんには幾つかの部門が存在します。開発、営業、販売、管理等々。そして開発の中も幾つかの職種に別れています。企画、プログラム、デザイン、サウンド等々。そしてこれら全ての職種が関わりあって、いわゆるプロジェクトチームとして業務の成功を目指す訳です。ここまでサラリと書いていますが、大変ですよ。職種の違いによる手段の違い、部門の違いによるモチベーションや評価目標の違い。単にモノを「作る」と言っても、これら全てを同時に進行させる事を指して「作る」と言っています。そして同時にかつ効率良く進行する事を目指す為には「伝える」が非常に大切になってくる訳です。これが仕事における「伝える」の基本的な意義と理由です。でもここまでは解ってる人は多いんですよね。 では続いて肝心の「伝える」手段ですが、俺の答えは「何でもアリ」です。 「そんな解答、ズルイじゃん!」と思わないで続けて聞いて下さい。「何でもアリ」と言っても、別に何をしてもイイ。と言っている訳ではありません。大切なのはバランスです。何のバランスかって?でもその前に、1つだけ言わせて下さい。多分「伝える」が苦手な人は、勘違いをしているだけだと思います。例えば「どうやってスタッフとコミュニケーションを...」という質問をしてくる人に対して「伝わるようにすればイイじゃないですか?」と言うと、決まって「自分にはそういう才能がないから」的な返事が返ってきます。じゃぁ”そういう”ってどういうモノなの?と聞くと「伝え方というか、ノウハウというか...」とこれまた決まった返事が返ってきます。 勘違いをして悩んでいる人に多いのが、伝える為には「絶対的な伝え方」もしくは「コミュニケーション術」みたいなモノ、つまり「こういう人こういう場合にはこう返すのが良し」的な”デフォルト”が存在するものだ。と思っている人。非常に多い!そんなもんありません!そういうモノを求めるのって「口説き台詞集」みたいなモノを読まないと女性が口説けないのと同じです。格好悪い。それって言い訳 して面倒くさがって逃げているだけですよ。 ふぅ。ちょっとお説教臭くなってきたので、前向きな意見に変えます。 「伝える」為の絶対的な方法論は存在しません。が、コツはあります。じゃぁ今回はこれだけ覚えて下さい”「今話している以上の事を伝えたい」という気持ちは必ず伝わるものなんだ。”と言う事を忘れない事がコツです。さっき女性を口説く話が出たので言う訳ではありませんが、ラブレターを書いた事はありますか?無い?じゃぁ自分の大切な誰かに手紙を書いたり、メールをしたり、電話をした事があるでしょう。その時の自分はどうですか?あれこれ考えるでしょう?こうよりはこの方が解りやすいかなぁ...とか、この方がもっとストレートに伝わるかなぁ?いや、逆にぶっきらぼうかも...いやいや...なんて考えてしまう時ってありますよね。この時の心境って何でしょう?強いて言えば「相手を思いやる気持ち」「自分の思いを深く理解して欲しい気持ち」ですよね。でも俺なりの考え方をさせてもらえば、まさに先程の気持ちを具現化しようと努力している自分の姿以外何者でもありません。 これが「伝える」の基本です。 例えば俺も、スタッフと話している時、喧嘩になる事もあります。喧嘩ですから意見は合わない訳です。でも喧嘩が終わった時「とりあえずあれだけムキになって言うんだから、よっぽどの理由があるんだろう」なんていう気持ちが残る時があります。内容は伝わっていないのですが、少なくとも聞き流す訳にはいかない 事情がある。という事だけは俺に伝わった以上、ほっとく訳には行かないので、発言の理由を改めて調査したりします。でもこれも立派な「伝わる」です。 そして更に正確さとスピードも求めるなら、伝達の為に必要なボキャブラリーやアクションを磨く事も大切です。でも前述の”勘違い”をしている人達は、このボキャブラリーやアクションを真っ先に求めて(それも絶対的なモノを)解決しようとする訳です。無駄ですよね。肝心の相手を全く見ていない。大切なのは「今は話している以上のことを伝えたい...」のマインドをベースに相手をしっかり見て、必要なアクションを合わせて実行することです。 前述した”バランス”とはこのマインドとアクションのバランスです。そしてそのバランスを追求する事で、その人の個性にマッチした「自分らしい伝え方」を発見する事ができます。そして見つけた「伝え方」こそ、この世で唯一無二の、自分にとって最も人の心を捉える事の出来る手段になるんだと俺は信じています。是非試してみて下さい。 ノリを重視する人、理論を重視する人、本人が「伝えやすい」と思うのならば、スタイルなんて関係ないです。だから俺からすれば伝える手段とは「何でもアリ」という表現になる訳です。付け加えるなら「伝えよう」としている人に、聞く側が耳を傾けるマナーがあれば言う事なしです。でも「伝える」理由や手段を身に付けた人は、その尊さを知っているので自然と「伝わり上手」(聞き上手)にきっとなれます。確かに仕事でも日常生活でも、他人に専門分野の事や自分の大好きなモノに対してとやかく、いや少しでも触れられると気になるものです。でもこれをお互いが拒否していては何にも作れません。むしろどれだけ突っ込んだ話をして、お互いのマインドを「伝える」事ができるか?で仕事の濃さが変わり、作品の中で反映されるレベルも大きく変わってくるからです。クリエイティブなカルチャーを保ってモノを作る以上、この「伝える」がどれだけ重要かという事が解って頂けたでしょうか?というか「伝わりましたか?」ではまた。
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